2013年2月20日水曜日

日中貿易、今年は輸出、輸入ともに回復:「お客様は神様」なのである

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ウォールストリートジャーナル 2013年 2月 20日 07:27 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324903404578314573584742256.html

日中貿易、今年は輸出、輸入ともに回復=ジェトロ見通し

【東京】日本貿易振興機構(ジェトロ)が19日発表した日中貿易の展望によると、北京市のデモや深セン市の暴動などにつながった強い反日感情が徐々に鎮静化するなか、2013年の日本の対中輸出は増加に転じる見通しだ。

 また、中国からの輸入も昨年の低迷から回復し増加に向かうことが予想される。
 世界2位と3位の経済大国の中国と日本は引き続き政治的に対立しているものの、中国は7年連続で日本の最大貿易相手国となる見込みだ。

 昨年の対中輸出は2009年以来3年ぶりに減少、前年比10%減の1447億ドル(約13兆5000億円)となった。
 一方、輸入も同3%増の1889億ドルと、2009年以降では最も低い伸びにとどまった。

 ジェトロは2013年の対中貿易に関する詳細な見通しを明らかにしなかったが、輸出が1桁台の伸びの一方で、輸入の伸び率は10%近くになるとの見通しを示した。

 ジェトロは日中貿易の好転について、中国経済の全般的な回復をその要因として挙げた。
 実質国内総生産(GDP)成長率は昨年7-9月期の7.4%で底打ちした後、今年は約8%になると予想されている。
 さらに、韓国製品などに対する日本製品の競争力が最近の円安で高まっていることもあり、対中輸出に拍車がかかりそうだ。

 尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐる日中対立から昨年9月に中国全土で巻き起こった反日感情について、ジェトロは既に下火になっていると見ている。

 対日感情が改善している1例として、トヨタ自動車とホンダ、日産自動車の日本最大手3社の中国販売は1月に前年同期比で2桁台の伸びを示した。

 ジェトロ海外調査部中国北アジア課の真家陽一課長は、公共事業と国営企業がまだ回復していないと指摘しながらも、日本の輸出がこの分野に依存する割合はそれほど大きくないため、全体的なトレンドには影響しないと見ている。

 一方、日中対立の火種は消えていない。
 日本は最近、中国海軍の艦艇が自衛隊の護衛艦やヘリコプターに火器管制レーダーを照射するという非常に危険な挑発行為を行ったとして非難。
 これに対して中国は強く否定した。

 ただ、両国の経済関係は必要に迫られる格好で堅持されている。
 例えば、真家氏によると、日本は中国にとって主要なエレベーター供給元だという。
 一方、多くの日本企業はコスト抑制と競争力維持のため、冷蔵庫やテレビから携帯電話まで、主力となる製品を製造する上で中国内の工場に頼っている。
 同様な理由で日本のレストランも中国から多くの野菜を輸入している。
 中国産のほうが国内産よりかなり割安だからだ。

 しかし、政治的緊張の影響が尾を引く貿易分野もあるかもしれない。
 日本は昨年、レアメタルを含めた化学製品の輸入で中国への依存を大幅に低下させた。
 その背景には、日本企業が仕入れ先をモンゴルや中央アジア諸国に分散させたことがある。

 中国は昨年も引き続き日本の最大輸出対手国となったが、輸出全体に占める比率は前年比1.6%ポイント縮小し18.1%となった。
 米国は2.2%ポイント拡大し17.5%となった。


 なにか、
 「なし崩し的に元に戻ろうとする中国」
 もちろん、それのほうが日本にとっては利益になることなのだが。
 でもなにか「ガツーン」といったものが、大騒ぎのわりにはないではないか。
 それでいいのか。
 もうちょっと日本に対して辛くあたってもいいのではないのか。
 「巡視船の鬼ごっこ」でそのあとは「静かな戦い」の継続。
 どうにも腰が座っていないという風にみられてしまう中国。
 こんなことだと日本にバカにされるだけになってしまうように思うのだが。
 まあ、中国には新たに「大気汚染問題」と「北朝鮮問題」が吹き出してきたため、とても尖閣には手がまわらないということではあろうが。
 尻切れトンボなのだ。 
 ではなぜそうなるかというと、これ。


東京新聞 2013年2月20日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013022002000116.html

日中貿易3年ぶり減 ジェトロ 12年調査 

 日本貿易振興機構(ジェトロ)は19日、2012年の日中貿易の総額が前年比3・3%減の3336億6442万ドルにとどまり、リーマン・ショック直後の09年以来、三年ぶりの減少に転じたと発表した。
 中国経済減速や沖縄県・尖閣諸島をめぐって両国関係が悪化したことが響いて、対中輸出が落ち込んだ。

 対中輸出は10.4%減の1447億0944万ドルだった。
 建設機械や自動車、鉄鋼などの落ち込みが目立った。

 一方、中国からの輸入は3・0%増の1889億5498万ドルで、三年連続して過去最高を更新した。
 日本でスマートフォン(多機能携帯電話)の需要が拡大したほか、消費者の低価格志向を反映して肉類をはじめとする食料品も伸びた。

 この結果、対中貿易赤字は前年の約二倍の442億4500ドル余りと、初めて400億ドルを突破した。

 ジェトロは、ことしの貿易に関して
 「中国経済は12年7~9月期を底に回復しつつあり、対中輸出も徐々に回復に向かう」
と予測している。

 ジェトロは財務省の貿易統計をドル換算した上で分析した。


 つまりこういうことだ。
対中輸出:1447億0944万ドル(13兆4570億円)
対中輸入:1889億5498万ドル(17兆5730億円)
 日中貿易は「442億4500ドル(4兆1150億円)」という中国の大幅黒字なのである。
 つまり、中国にとっては日本は重要なお客様であって、いささかも粗末に扱えないということなのである。
 「ガツーン」とはいけないのである。
 経済制裁をして貿易を停止したりしたら、中国のうける打撃ははかりしれない。
 日本からの輸入品はハイテクがらみの部品・製品であり、日本への輸出品はローエンドなものである。
 貿易制裁をすると、機器の心臓部にあたる必要なものが日本から入らなくなってしまう。
 対する日本は中国以外からいくらでも調達できるものばかりである。
 表面上はラッパを吹いて強がりを言ってはいるが、内実は
 「お客様は神様」
なのである。
 揉み手で歓迎しているのである。



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