2013年2月28日木曜日

国連副事務総長会見:尖閣諸島係争が収まったというシグナル

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●28日、ヤン・エリアソン国連副事務総長は日本記者クラブで記者会見し、北東アジアで尖閣諸島、竹島など海洋上の問題で「緊張が高まっている」と憂慮した上で、「当該関係国は(紛争の)エスカレートにつながるような手段を取らないよう自重すべきだ」と強調した。

 国連というのは係争中は発言をしない。
 それをすると、その僅かな内容の歪み・解釈で局面がドラマチックに動くことがあるからだ。
 マイナス側になった当事国からはその発言をなした国連に「なぜ一方の肩をもつのだ」という矢のような非難が浴びせられることになる。
 国連は基本的に中立で係争には関与しないということが絶対条件である。
 よって、国連が発言したということは、係争が収まったか、あるいは収まりつつあると判断できる、ということになる。


レコードチャイナ 配信日時:2013年2月28日 14時28分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69857&type=0

東アジアの領土問題、当該国は紛争をエスカレートさせる手段取るな!
―国連副事務総長が東京で会見

 2013年2月28日、ヤン・エリアソン国連副事務総長(元スウェーデン外相)は東京の日本記者クラブで「国連と東アジア」をテーマに記者会見し、北東アジアで尖閣諸島、竹島など海洋上の問題で「緊張が高まっている」と憂慮した上で、
 「対話を通じて友好的に解決するよう望みたい。
 当該関係国は(紛争を)エスカレートにつながるような手段を取らないよう自重すべきだ」
と強調した。

 エリアソン国連副事務総長は2月下旬から中国、韓国、日本を歴訪、各国政府要人と会談を重ねている。
発言要旨は次の通り。

 世界は、経済的にも知性的にもアジアに(重心が)移行しつつあり、特に北東アジアの安定はグローバルな広がりを持つ。
 この地域で緊張が高まれば、当該国の人々だけでなく、世界全体に影響すると懸念している。
 北朝鮮の核実験は核不拡散条約に対する違反であり、世界の権威・秩序に対する違反でもある。
 北朝鮮には自制を強く働きかけ、同国を再び国際社会に取り込み、非核化に持っていくために、冷静な行動が必要だ。
 北朝鮮国民2400万人にうち、(貧困にあえぐ)600万人がまっとうな暮らしができるよう国連は食糧援助などの支援をしている。
 国連がこうした能力を持ち続けることが重要だ。

 (尖閣諸島、竹島などをめぐり)北東アジアにおける海洋上の問題で緊張が高まっている。
 その背景には長く歴史的な経緯があり、非常に複雑かつ機微に触れる問題だが、対話を通じて友好的に解決するよう望みたい。
 当該関係国はエスカレートにつながるような手段を取らないよう自重すべきであり、強く求めたい。
 海洋の問題を対話によって解決に導くことは、北東アジアだけでなく世界国・人々のために極めて大切なことである。
 国連は(紛争の)全当該国から要求されれば、国際的な調停が必要になるが、そうした状況にはない。

 北朝鮮問題では同国に影響力を持つ中国の役割が大きい。
 今回、日本訪問の前に中国で政府要人と会談した。
 中国に建設的な役割を果たすよう働きかけたのに対し、中国側も
 「核不拡散や国連安全保障理事会決議など原理原則で一切躊躇(ちゅうちょ)しない」
と言っていた。
 2008年以来開催されていない6 カ国協議など外交的な手段も活用すべきである。


 ということは
 尖閣諸島問題は「現状で凍結」ということで収束する
ということになる。
 現状凍結とは「実効支配は日本にあり」ということである。
 中国が動けない以上、そうするしかないだろう。
 日本は世界に「尖閣諸島を日本が有効に行政管理」している、とアピールしたということである。
 そして、
 中国は実力行使ができるほど、ラッパで言っているほど強くはない
ということを印象づけたことになる。
 これによって、もう周辺諸国は中国に怯えることもなくなった。
 しばらくは中国の経済力がこの地域を支配するだろうが、それは徐々に減少していく。
 そのに合わせるように周辺国は中国と対等の関係を構築するようになる。
 そういうことである。

  もう少しうまく立ち回ればいいのに明らかに尖閣では中国は失敗してしまった。
 旧来のまま「棚上げ」にしておけば、かぎりなくダークであるが日本と中国に均等の領有権があるように見えていた。
 それを欲を出して中国が仕掛けてしまった。
 結果として、それが日本が実効支配権を強固なものにしてしまい、それに基づく領有権を世界に知らしめてしまった。
 つまり、
 「現在は日本の領有で、日本が有効に実行支配しています」
 「中国はそれ以前の領有者に過ぎず、中国の主張は過去の神話モドキにすぎません」
と。
 「沖縄が中国の領土だとする説となんらかわりはありません」
と。
 中国の不用意な行動が尖閣の領有権を日本側に押しやってしまったということになる。
 日本としては押し込まれた領有権を実効支配の国際原則から離すはずがない。
 さらに中国の恫喝的な動きは、日本の実効支配を実力的に有効化する方向に動くことにしてしまった。
 その結果として、尖閣問題は日本の勝利に終わったとみていい。
 その勝利を誘ったのは中国のまずい対応であったことは確かである。
 そして、国際的にみて、一度、有効な実効支配が確立してしまったいま、永遠に歴史の昔に中国のものであった、という神話の世界には戻らないことも確かである。
 「主張としての中国固有の領土」はこれも永遠に語れれるであろうが、その支配を取り戻すことは永遠にないということである。
 今回、もう少し中国がうまく振舞っていれば、「日中協力して」という名分が立てられ、半々のダークな関係で事を処理できたかもしれない。
 しかし、中国があまりに黒白を明確につけたかったために、その動きのすべてが中国が領有権を日本に押しやる格好となってしまった。
 この問題は、間違いなく中国の失敗である。




【中国海軍射撃用レーダー照射】


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