2013年3月13日水曜日

中国、「一部領土はもう奪還できない」:尖閣は「取り戻せないもの」である



●12日、国際在線は、中国全国政治協商会議委員、中国社会科学院研究員の張蘊嶺氏が「一部領土はもう奪還できない」と発言したことを伝えた。写真は尖閣諸島・魚釣島。



レコードチャイナ 配信日時:2013年3月13日 11時42分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=70256&type=0

<尖閣>武力行使すれば奪還は可能、でも中国は高成長の環境を失う―中国政協委員

 2013年3月12日、国際在線は、中国全国政治協商会議委員、中国社会科学院研究員の張蘊嶺(ジャン・ユンリン)氏が
 「一部領土はもう奪還できない」
と発言したことを伝えた。

 近年、尖閣問題、南シナ海問題など、中国の海洋領土問題が注目を集めている。
 国際在線記者の取材を受けた張委員は中国のナショナリズムが高まるなか、これまで“冷凍”されていた問題が過熱していると分析した。

 同氏によると、台頭する大国には2つのリスクがあるという。
○.第一に自らの実力を高く評価しすぎて無謀な行動に出てしまうこと。
○.第二に極端な意見や世論に政策が影響されてしまうこと。
 今の中国世論を見ると、もはや武力でしか尖閣問題を解決できないような印象を受けるが、もし本当に武力行使すれば尖閣諸島は奪還できても、中国が高成長を続ける国際環境は失われるだろうと指摘した。

 また尖閣諸島と南シナ海の主権は最終的に回復できるのかと質問には、
 
○.取り戻せるものもあれば、
○.取り戻せないものもある。
 妥協も必要となる

と回答した。
 妥協が必要と言うことは南シナ海の領海を争うベトナムもよく理解していると指摘する。

 その例として挙げたのがベトナムのレ・ルオン・ミン氏の発言。
 今年1月にASEAN事務局長に就任した同氏は
 「南シナ海問題は互いに妥協して解決するしかない」
と発言した。
 事務局長就任前のベトナム外務省外務次官時代には絶対にありえない発言だと張氏は話している。


 中国は尖閣を武力奪回することを諦めている。
 なぜなら、
○.まず第一に解放軍海軍が動かない。
○.第二にもし海軍が動いて奪回したとしても、それを長期にわたって保持できない。
 制海権と制空権を保持できないなら、奪回しても無駄になるし、逆に再奪還されてしまったら中国の軍事能力への評価がガタ落ちになる。
 よって、そういう危険度の高い作戦に中国は手を染めることはしない。
 ということは中国政府は尖閣の軍事的奪回は行わない
 代わりに警察力を使って、いろいろとトラブルを起こして、固有の領土であるというアピールをし続けることになる。
 ただ問題は、そういうことをやることは中国にとって溜飲を下げることになりはするのだが、
 周囲からは日中は緊張状態にあり、一触即発の状態にあって、危険な地域というイメージを世界に与えてしまう。
 その結果として中国への投資が減少していくという損失に見舞われることになる。
 今回の尖閣問題は中国のまったくの失敗であり、
 尖閣諸島の日本による実効支配権を世界に認めさせる
ことに手を貸しただけという屈辱的結果を招いただけに過ぎなくなっている。。


レコードチャイナ 配信日時:2013年3月17日 11時8分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=70383&type=0

<尖閣・南シナ海>
中国メディアが世論を戦争に導こうとしている……両会代表が異例の発言―中国

 2013年3月15日、RFI中国語版は記事
 「両会代表・委員がメディアはミスリードによって日中の対立を戦争へと追いやろうとしていると批判、注目集める」
を掲載した。

 13日、中国網は人民解放軍総後勤部政治委員、中国全国人民代表大会(全人代)代表の劉源(リウ・ユエン)上将の発言を報じた。同氏は故・劉少奇(リウ・シャオチー)元国家主席の息子。
 劉上将は命令を
 受ければ戦争するし、必ず勝つ
と前置きしつつも、
 別の手段で解決できる状況では極端な暴力を用いる必要はない
との見方を示した。

 また中国全国政治協商会議委員、国際問題専門家の張蘊嶺(ジャン・ユンリン)氏も国際在線の取材に答え、
 中国メディアが自国の有利な材料ばかりを宣伝することによって、そんなに有利ならば強硬になったほうがよい
と世論をミスリードしていると批判した。

 景気の良い主戦論を唱えていれば称賛されるのに、あえて雰囲気に逆らって冷静になるよう呼びかけた劉上将と張氏。
 一部のネットユーザーからは称賛する声が上がっている。


 簡単にいうと、解放軍は「やる気はない」ということを述べただけ。
 どう考えてもこの軍事衝突は中国側に理と利がない。
 それを捻じ曲げるのが戦争の勝利であるが、でもその勝ち目がなければ理も利も生まれない。
 負けた場合を考えれば、解放軍は前向きにはなれない。
 「命令を受ければ戦争するし、必ず勝つ」
とはいうが、頭に「必ず」とつけなければならないほど、負けの勝算が濃いということだろう。

 また、日中対立による経済的ダメージは時がたつにつれて中国側に大きく出てきている。
 経済関係者にとっては、なんとか早く収めてもらいたいというのが切実な願いであろう。
 日本は「中国なし」での世界戦略に動き出しているが、
 中国は初めは「日本はいらない」でスタートしたが、だんだんそれが首を絞め始めてきている。

 日本は中国と妥協する気はなくここまできたからには、逆に中国世論を煽って騒乱を引き起こし、共産党政体の壊滅を狙っている、という選択肢も視野に入れているだろう。
 このご時世、共産党の独裁といった形で歴史が進むとは思えない。
 経済が発展し、インターネットのメデイアの普及で、個人が意見を開陳できる条件が整ってくれば、どういう形で中国の歴史が変わっていくかは分からない。
 おそらく、この現政権が10年もつかですら分からないと見通すのが、昨今の歴史である。
 もし政体が壊れるなら、壊す方向に手を貸して、破壊から守る方向には参加しない、というのが日本政府の長期的展望だろう。
 とすれば、「メデイアのミスリード」というより、日本にとっては願ってもない中国メデイアの動きととらえているはずである。
 尖閣問題は日本の中国翻弄のスイッチみたいなものである。
 時々電気を流して民衆を煽り、勝負どころでは一気に大電流を流して中国を混乱させることのできるカードである。



【中国海軍射撃用レーダー照射】


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