2013年3月18日月曜日

根深い中国の環境汚染:警察や裁判所も当局管理下にあるので隠蔽は思い通りに



●ウォールストリートジャーナル


サーチナニュース 2013/03/18(月) 10:28
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0318&f=national_0318_008.shtml

【仏国ブログ】中国の河川で6000頭の豚の死骸、ひどい水質汚染

  フランス人が、Le mondeサイトのブログ「m Blog」で、中国の河川汚染についてつづっている。

  筆者は今年3月、中国・上海を流れる黄浦江で約6000匹の豚の死骸が発見されたことを世界中のメディアが報道したことを受け、
 「中国の河川汚染は、もはや一般的な現象であり、当局がほとんど向き合っていないような印象すらある」
と指摘した。
 
  「今のところ水質の汚染は確認されていない」
という中国サイドの報道とともに、筆者は
 「中国の経済都市の人口約2千300万人が消費する水のうち、黄浦江の水で20%を補われている」
という事実を伝えた。
  
  筆者は、今回の事件を通して、中国を流れる河川の40%が汚染されており、20%は触れるのも危険なほど有毒だと考えられていることを紹介した。

  そこで筆者は、この水質汚染はどこからくるものなのか、調べてみたという。
 河川敷に建てられた石油化学工場の数は2万棟にも上り、
 そのうち1万棟は東シナ海へと注ぐ長江に、
 4000棟は黄河に建てられ、
 定期的に毒素入りの廃棄物を川の中へと流しているということが分かった。
 さらに昨年、中国当局が1700件もの化学事故を認めており、この事実は水質汚染におおいに影響を与えているはずだと指摘した。

  筆者は、中国の水質汚染の例は事欠かないとし、昨年9月には重慶付近の川が青くなった。
 また2011年12月には、染料の不法廃棄によって北部の街付近の川が赤くなり、
 同年9月には魚にも高濃度の毒の被害があるフッ素化合物を廃棄したとして、ある工場が閉鎖になった
ことなどを列挙した。
 ほかにも、オレンジ色や黄色になった川などの写真もブログ内で紹介し、その水質汚染の度合いの凄まじさを強調した。
 
  かつては「メイド イン フランス」を誇ってきた質の高いフランス製品も、いまでは日本と同様「メイド イン チャイナ」にとってかわられつつある。
 それだけ、中国には広大な敷地を活かして多種多様な工場が集まっているが、その結果のひとつが水質汚染に至ったともいえそうだ。

  経済の急成長と環境保護の意識が、かみ合っていないのはいうまでもなく、両者を両立してこそ経済大国第2位として国際的にも認められる。
 それには最低限の「環境に対するマナー」を国民それぞれが共有し、実行する義務も出てくる。

  フランス・ボルドーのワインシャトーも、中国人所有者に買い譲られるケースも増えてきており、経済大国としての地位を得た中国の勢いは、フランスも含め西欧諸国で認めざるを得ない状況にある。
 一方で、自覚やマナーが表れる水質汚染は、世界が経済大国としての中国を見極めるバロメーターといえるかもしれない。



ウォールストリートジャーナル  2013年 3月 15日 16:15 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323893104578361591896272094.html?mod=WSJJP_hp_EditorsPicks_2

【社説】根深い中国の環境汚染

 北京で進行中の中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は、さまざまな社会問題が表面化している微妙な時期に開催されている。
 それだけに中国高官たちは、環境破壊が明るみに出たことでばつの悪い思いをしているはずだ。
 北京の大気の状態は「健康によくない」と「人体に有害」の間で推移し、
 上海の飲料水の大半を供給している川では6000頭以上の豚の死骸が怪しげに現れた。

 これを受けて、中国で最もよく知られているコメンテーターの1人で、ハイテク起業家でもある李開復(カイフー・リー)氏が自身のマイクロブログに次のようなジョークを投稿した
──ある北京市民が言った。
 「窓を開けるとただでタバコが吸えるのだから、われわれは最も幸運な市民だ」。
 すると、ある上海市民が反論した。
 「だからなんだよ。われわれは蛇口をひねるだけでポークスープが飲めるんだぞ」

 川から回収される豚の死骸の気分が悪くなるような写真は、中国の水質・土壌汚染が息が詰まるようなスモッグと同様に深刻であることを再認識させるものだ。
 そうした豚がどこから来たのは捜査中だが、うわさによると上流にある農場で家畜が病死、当局は病気にかかったり死んだりした家畜の食肉解体場への売却を厳しく取り締まってきたという。
 そうしたこともあって、農場主たちは豚を川に捨てるという昔からある廃棄物処理方法に立ち返ったのかもしれない。

 ポークスープスキャンダルと呼ばれているこの事件は、
 中国人が政府に対して抱いている3つの不信
――
★.企業や政府高官の利益ではなく公共の利益を守るための計画が欠如、
★.公害を引き起こしている企業に責任を取らせることができないほど政治が腐敗、
★.そして、災害時にもタイムリーな情報が未提供
――
に輪をかけた。
 皮肉なもので、この事件はあの新型肺炎(SARS)の大はやりの10周年ともほぼ重なった。

 当局は汚染統計を「国家機密」に分類するなどして問題を隠ぺいし続けている。
 それでも政府のさまざまなレベルから、問題解決には汚染源への操業停止命令以上のことが必要になるということを示す情報が出てきている。
 汚染の影響があまりにもひどく、住人が移転を余儀なくされ、費用のかかる浄化作業が始まっている地域もある。
 重金属中毒との関連が疑われる病気が多い村もあれば、どういうわけかがん患者が集中している地域もある。
 政府から補償金が支払われることはめったにないので、農民たちは生きるために農産物を市場で売り続けている。

 昨年、ある次官は中国の河川の40%で汚染が深刻であること、人が触れることもできない有毒な川も20%に達するということを認めた。
 また90%の都市で地下水が汚染されているという。
 中国の北半分ではすでに水不足に陥っていることから、中国政府は排水路計画や脱塩といった解決策の費用に危機感を募らせている。
 一方で環境保護運動家の潘岳氏が次期環境保護相の最有力候補に挙がっており、多少は政府の信頼回復に寄与するかもしれない。

 中国国民からのプレッシャーもある。
 環境保護運動家たちは最近になって関心を高める効果的な手段を発見した。
 地元の川で泳ぐ地方政府高官に対して報酬を提示するというものだ。
 今のところ、それを手にした高官はいないが。
 ジャーナリストや「市民記者」たちは化学物質の流出がいつ起きたかを暴露するなどして情報公開に取り組んでいる。
 SARSが流行した10年前と比べると、情報の隠ぺいはずっと難しくなっているのだ。

 この問題の根本的な原因は中間レベルにある。
 省、市、郡の高官たちが環境を犠牲にしてでも経済活動を最大限に高めたがる背景にはインセンティブが存在する。
 警察や裁判所も管理下に置いているので、すべては高官たちの思い通りとなっている。

 先月発表された5人のエコノミストたちによる研究では、環境保護にかける費用と高官たちの出世には負の相関関係があることが示された。
 環境保護法を利用して地元企業を脅迫している幹部もいる。
 本当の、あるいはでっち上げの違法行為に目をつむるからと言って賄賂を請求するのである。

 中国の水・土壌・大気を守るには、その政治経済の改革が必要だろう。
 地元住人が規制の費用と恩恵のバランスを取れるように、市や郡のトップを選ぶ際に地方レベルの選挙を行うというのが理想的な解決策だろう。
 ところが中国共産党は権力独占をあきらめようとせず、1987年以来、選挙はほぼ権力がない村長レベルに限定している。
 こうした傾向が政治改革なしで改善される見込みはほとんどなく、その代償はすでに恐ろしいほど大きい。




レコードチャイナ 配信日時:2013年3月22日 11時52分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=70559&type=0

工場が井戸水を占領、農家はやむなく工場の汚水を使用
=汚染を恐れ農民は作物を口にせず販売へ―河南省

 2013年3月21日、大河報によると、中国・河南省の環境保護関連部門は住民が報告した深刻な水質汚染問題に関して、汚水を排出する企業に対し厳しく取り締まっている。
 今月18、19日同関連部門は、職員を3つに分け、抜き打ち検査を行った。

 新郷市鳳和泉区の村にある製紙工場は、主にトイレットペーパーを製造している。 
 その製造過程において出る汚水は処理をされないまま垂れ流されていた。 
 工場のすぐそばに畑があり、農家は汚水で農作物に水やりをしていた。 
 抜き打ち検査に訪れた職員は明らかな違法行為であると説明したが、工場責任者は、村役場と契約する際に汚水を農業用に使用してもよいことで合意していると話した。

 では、なぜ周辺の農家は汚水を水やりに使用しているのか?
 同村の農民によると、以前周辺の畑は地下の井戸水を使っていた。
 しかし製紙工場ができると、工場はさらに深い井戸を掘り、農民が使用していた井戸は枯れてしまった。 
 工場に抗議すると、工場は
 「工場内の井戸水及び処理後の水を使ってもよいが使用料が発生する」
と対応した。
 そのため、一部の農民は節約のために汚水を使っている。
 しかし、汚水で育った麦などの農作物は自分たちが食べる分は残さず、全て売るという。
 現在同製紙工場は生産停止を言い渡され、排水溝もふさがれている。

 また、●河市(●=さんずいに累)臨潁県のかつら製造工場や製紙工場、済源市の化学工場でも違法に汚水が排出されており、関連部門はこれらの悪質な企業に対し厳しく責任を追及していくとしている。






【中国海軍射撃用レーダー照射】


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