2013年3月8日金曜日

神経戦続く尖閣、中国の狙い「日本の疲弊」か?:巡視船の鬼ごっこの「やらせ」?





ロイター 2013年 03月 7日 16:10 JST
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE92604220130307

焦点:神経戦続く尖閣問題、中国の狙いは「日本の疲弊」か

[香港 7日 ロイター] 
 尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺の海域に中国の監視船などが連日のように姿を見せて日本側を刺激しているが、
 この行動は艦船の数などで劣る日本を圧倒し、疲弊させる戦略だと一部の専門家は分析している。

 日本側は、尖閣周辺海域を航行する中国艦船の警戒を続けなくてはならないため、米海軍大学のジェームズ・ホームズ氏は
 「(中国側の)東シナ海での作戦のゴールは海上自衛隊や海上保安庁を疲弊させることだ」
と指摘する。

 中国人民解放軍(PLA)は尖閣周辺海域での動きを定期的に公にしているが、政治アナリストらによれば、PLAの作戦に関する情報公開は国内向けプロパガンダの意味合いも持つという。 
 共産党が揺るぎない決意で「自国領土」の防衛に臨んでいることを示すことができるからだ

 一方で、日中両国の艦船が尖閣周辺でにらみ合いを続けることは、武力衝突につながりかねない事故や誤算のリスクが高まると警鐘を鳴らす専門家もいる。

 日本は先月、中国海軍が今年1月に海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用レーダーを照射したと発表し、両国の間で緊張が高まった。
 オーストラリアの元国防省当局者で軍事アナリストのロス・バゲッジ氏は
 「非常に危険な領域に踏み込んでいる」とし、
 「日中が深刻な戦争状態に入る可能性がある」との懸念を示した。

 一部専門家の間では、海上自衛隊や海上保安庁の能力は依然として中国をしのいでいるものの、中国側が尖閣周辺に一段と力点を置けば、日中の立場が逆転するとの見方もある。

 東海大学の山田吉彦教授は、中国のプライオリティが南シナ海から東シナ海に移れば、海上保安庁だけでは対応が難しくなるとしている。

■<海上保安庁への圧力>

 海上保安庁が重圧を感じていることを示す証拠がある。
 海上保安庁は巡視船12隻・約600人規模の「尖閣専従部隊」を新設する方針を決めた。
 さらに新年度の予算案では、海上保安庁の強化に前年度比37.6%増の364億円が盛り込まれ、119人の大幅増員も実現させる。

 また、小野寺五典防衛相は5日、退役する海上自衛隊の護衛艦を海上保安庁の巡視船に転用できないか協議していると明らかにした。

 一方、PLAの発表によれば、中国の軍艦は尖閣の近隣海域などへの巡回活動をほぼ絶えず実施しているという。
 PLAは1月、西太平洋で軍事演習を行うとして沖縄本島と宮古島の間の海峡を抜けるとし、演習にはミサイル駆逐艦「青島」、ミサイル護衛艦「煙台」と「塩城」が参加すると発表した。

 日本周辺で急速に活発化する中国海軍の動きについては、米国も目を光らせている。
 米海軍太平洋艦隊情報作戦局のジェームズ・ファネル副参謀長は1月、
 「間違いなく中国海軍は戦争および敵艦を沈めることに重点を置いている」
と異例な発言で中国をけん制した。

 PLAは2月、「安全保障面での核心的利益」を強調し、今年中に40回の軍事演習を実施することを明らかにした。
 複数の中国高官は、尖閣諸島をめぐる日本側の主張は、中国の核心的利益への攻撃だと主張している。

 また新華社によると、次期国家主席に内定している習近平氏は1月、指導部に対する演説の中で「戦時中の残虐行為」による苦しみについて触れた。
 これが日本による中国への侵略行為を指しているのは明白だ。
 報道によれば、習氏は平和的発展の道を歩んでいくとしながらも、
 「決してわれわれの核心的利益を犠牲にはしない」
と述べた。

 中国政府は5日、2013年の国防費を10.7%拡大し、7406億元とする方針を明らかにした。
 2桁増が20年以上続くことになる。
 人民解放軍機関紙「解放軍報」では、中国海軍にステルス性能を持った新型フリゲートが納入されたと報じられた。

■<折れない日本>

 中国からの軍事的・外交的な圧力が高まっても、日本政府が折れる様子はない。
 安倍晋三首相は2月、ワシントンでの演説で
 「(中国による)挑戦は今も将来も容認できない」
と断言した。

 元海上自衛隊自衛艦隊司令官の香田洋二氏は昨年、豪シンクタンク向けの論文で、
 日本周辺を航行している中国海軍が、日本や米国から
 「いずれ間違いなく激しい監視や執拗(しつよう)な追跡を受けるようになる」
と予測した。

 軍事アナリストの中には、中国海軍の尖閣周辺に艦船を送り込むのは、東シナ海や南シナ海で領有権主張を強化する動きの一部だとみる向きもある。

 「もし中国が自国のものと主張する領土の監視を始め、相手国がそれを事実上排除できなければ、中国がその領土の正当な主権を持っているように見え始める」
と米海軍大学のホームズ氏は指摘する。

 その一方で同氏は、フィリピンなど中国と領有権を争う他の国に比べ、
 日本はかなり厳しい挑戦を中国に突きつけている
と話す。
 海上自衛隊は単純な数の上ではPLAに劣るものの、レベルの高い訓練を受けており、最新鋭の艦船や潜水艦も保有するアジア最強の部隊と広く考えられている。

 また別の専門家の中には、
 中国が日本に対して強硬姿勢を取るようになったのは、
 領有権問題で中国が関係諸国から反発を受け、
 地域で孤立を深めたことが原因だとする意見もある。

 アジアでは日本の戦時中の行動がまだ広く記憶に残っており、
 「尖閣諸島(釣魚島)をめぐる騒動は、中国がそうした日本を引き合いに出すことで孤立感を和らげたいという衝動が引き起こしたものだ」(米海軍兵学校のYu Maochun氏)
と分析する専門家もいる。

(原文執筆:David Lague記者、翻訳:梅川崇、編集:宮井伸明)


 「巡視船の鬼ごっこ」で
 「共産党が揺るぎない決意で「自国領土」の防衛に臨んでいることを示すことができる」
なら、こんなに安い揺るぎない決意はない。
 はっきり言えば、これは手抜きの決意でしかない。
 ではなぜ中国は「手抜きの決意」でことをすまそうとするのか、ということであろう?
 これはすでにいくども書いてきたので繰り返してもしかたがない。
 日本にとっては中国が鬼ごっこしてくれることで、
 「士気、すなわちモチベーションが上がる」
というプラス効果を上げていることに感謝すべきだろう。
 下手に、この問題が終焉されては困るのが日本である。
 非常に「苦労をしていると見せかけて、着実に利をとっていく」
というのが日本のやりかたである。
 昔からそうだ、日本のやり方は。
 相手に上辺の花を持たせて、そのじつ、ウラで利益をいただく、
 そういう手法でこれまでやってきて、世界に外交ベタと叩かれながらもちゃんと経済大国ナンバー2を40年も保持してきた。
 「負けて、勝ちをとれ」
というのが、日本の戦略である。
 ただこれ、花を優先する外国には理解し難い部分でもある。
 客観的にみて、
 「巡視船の鬼ごっこ」くらいで日本は心理的に疲弊するはずもない。
 3年、4年となれば「心理的疲弊」という言葉も力を持つかもしれないが、
 まだ1年も満たないのにどうして心理的疲弊が発生するのだろう。
 社会心理的に考えればすぐに分かることだろうに。
 その程度で疲弊するぐらいなら、40年もの間、いばらのナンバー2の座に据わり続けられるはずがない。
 また、解放軍海軍程度ではオドロキもしない。
 過去の戦歴からみて、解放軍ていどならたやすく翻弄できると踏んでいるだろう。
 2/3世紀の間、戦争なしでやってきたので、少々真剣に
 ここでできれば解放軍と一度お手合わせしてみたいというのが自衛隊の本音
ではなかろうか。
 軍隊というものはそういうものだ。

 「巡視船の鬼ごっこ」とは中国が一生懸命やってますよという形を中国民衆にアピールするだけのものでしかない。
 日本もそれに暗黙の了解で付き合って、中国当局のメンツを立てているにすぎない。
 本人たちはまじめにやっているのだろうと思うが、ちょっと引いてみてみると、なにか
 「両者のアウンの呼吸、いい換えるとやらせで動いている」
のではないか、と思ってしまう程度のものにしか見えない。
 中国側は気張って尖閣に監視船を送り込み「日本を疲弊させている」といい、
 日本側は中国の監視船の侵犯が激しいので、気を引き締めて「対中国予算を増強」して対策に取り組まねばならない、と。
 おそらくは第三者からみると限りなくお芝居に近いような「鬼ごっこ」が数年続くのではないだろうか。
 それがいわゆる「長く静かな戦い」ということではないのだろうか。
 ということは「棚上げ」という解決もなければ、2013年中の解決もない、ということである。


レコードチャイナ 配信日時:2013年3月9日 8時0分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=70122&type=0


●月7日付の人民日報は、「2012年9月以降に起きた尖閣諸島(中国名・釣魚島)の主権と海洋権益の維持に関する十大事件」と題する記事が中国国家海洋局の公式サイトに掲載されたと報じた。写真は「中国海監50」の模型。

尖閣の主権防衛、「魚釣島の1.5キロメートルまで接近」と成果をアピール―中国国家海洋局

 2013年3月7日付の人民日報は、「2012年9月以降に起きた尖閣諸島(中国名・釣魚島)の主権と海洋権益の維持に関する十大事件」と題する記事が中国国家海洋局の公式サイトに掲載されたと報じた。

 2012年9月は、日本政府が尖閣諸島(沖縄県)を国有化した時期にあたる。
 人民日報の記事は、「十大事件」のうち以下の3件が成果面で特に注目に値するとしている。

 2012年12月13日、中国海洋局所属の海洋監視船と航空機が、尖閣諸島周辺海域で初の海空合同主権維持活動を実施。
 公式任務による尖閣諸島上空の飛行は、中国の主権を示す上で歴史的な出来事となった。

 2013年2月4日、中国の海洋監視船が尖閣諸島の周辺海域を航行した際、日本の海上保安庁の巡視船に対し、合法的に監視・証拠採取活動を行い、中国側の圧力を受けて日本船は同海域を離れた。
 この際の航行時間はこれまで最長の14時間16分に及んだ。

 2月18日、「中国海監50」など監視船3隻が尖閣諸島周辺海域を航行し、日本の海上保安庁の巡視船に対して領海から即座に退去するよう要求。
 この際、魚釣島から0.8海里(1.5キロメートル)の海域まで接近した。


 こういう形での尖閣処理を「静かな戦い」というのだろう。
 巡視船の鬼ごっこで敵地近くへ行く。
 どのくらい接近できるかということで評価している。
 いわばゲームをしている。
 そうすることで、民衆の不満を和らげている。
 ポーズとしての政府は尖閣奪還をアピールするが、実質は鬼ごっこというゲームの勝った負けたの繰り返しである。
 これが「長く」これからも繰り返されることになる。
 初めのうちはニュースになるが、そのうち民衆もこのゲームに飽きてきて、忘れ去られる。
 「尖閣問題、まだやっていたの!」
ということになる。
 中国はそれを待っているのかも。
 中国としてはメンツある形で尖閣を収めたいというのが本音であろう。



【中国海軍射撃用レーダー照射】


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