●中国軍主導のハッキング・グループが入居しているとされる建物(上海)
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ウォールストリートジャーナル * 2013年 2月 21日 15:00 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323364604578317223834870346.html?mod=WSJJP_hp_bottom_3_3_bucket_3_right
【社説】中国によるサイバー攻撃―世界経済に重大な影響
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のほか、中国政府にハッキングされた企業から依頼を受けた米ネットワーク・セキュリティー会社のマンディアントは、中国人民解放軍が過去7年間に115の米国企業にハッキング行為を行ってきたことを示す有力な証拠を発表した。
膨大な量のデータと機密情報が盗まれたのだ。
その報告書はデジタル痕跡から、上海の大同路に面した人民解放軍の一組織である「ユニット61398」の本部が置かれているある建物まで特定している。
中国政府の報道官たちはハッキング攻撃に関して一切の関与を否定し続けており、中国もそうした攻撃の被害国だと主張している。
攻撃の規模と巧妙さからして、そうした反論は前々から信じ難かった。
決定的な証拠が浮上した今、
問題はこうした活発化している攻撃に自由主義諸国がどう対処すべきかである。
各国の政府はこれまでも互いにスパイ行為をし合い、商業的価値がある秘密の入手を画策してきた。
だとすると、中国の行為はそれとどう違うのだろうか。
愚かにも適切にデータを保護することを怠っていたのなら、中国の競合他社に知的財産を盗まれているという西側諸国の企業の言い分も通用しない。
だが、スターリンが言ったとされている言葉通り、「量も質のうちな」のだ。
一国が政治的、経済的に幅広く国益を高めることを目的として民間企業からデータを盗むのにこれほど膨大な資源を投じるなど、世界でも前代未聞である。
インターネットを通じた窃盗・破壊行為を好む中国の体質は、世界の経済秩序を変えてしまうかもしれない。
これが誇張のように思えるのであれば、産業革命と次々に起きた技術革新は、起業家が自らの創意や努力によって利益を上げることを可能にした法的・文化的枠組みに依存していたということを思い出してほしい。
それとは対照的に、中国やその他の独裁体制では、実業界の大物は概して政治的影響力や腐敗を通じて台頭し、その地位を維持していく。
自由市場の創造力に常にただ乗りしてきたのも彼らである。
最近まで、中国が革新者たちに被害をもたらすことはほとんどなく、むしろ彼らの力にさえなってきた。
たとえば故スティーブ・ジョブズ氏の革新的な製品を組み立てる労働力を提供するといった具合に。
ところが中国政府は今や、他国の人々の繁栄を脅かすほどに、世界の経済ルールを踏みにじるつもりのようだ。
近く出版される著書で、グーグルの元最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミット氏が、
中国のハッキング行為と情報統制は同国を危険にしていると書いている
のもうなずける。
かつてのソビエト連邦は、あからさまな軍事力と政治的転覆を図る能力を使って資本主義の西側諸国を脅かした。
ところが、中国のハッキング行為による脅威はそれよりもたちが悪い。
というのも、中国政府はルールに従って行動していると主張する一方で、追跡や阻止が難しいツールを使ってそのルールを覆しているからだ。
中国企業が猛烈なスピードで成長し続けるには、いかさまをする必要があると中国政府は計算したようだ。
この影響で西側諸国は、企業と国家が一定の距離を保つのではなく、1つになって事業を行わなければならない世界に引き戻されてしまうかもしれない。
われわれは中国の行動が自滅的だと証明されることを望んでいる。
経済取引の本質は相互利益であり、相手を食い物にし続けるような貿易相手国とはいかなる国も取引をし続けるべきではない。
米国政府もようやく勇気を振り絞り、穏やかで弱々しい嘆願以上の反応を示そうとしているようだ。
より強固な防衛策も絶対に必要だろう。
マンディアントがしたように、ハッキング行為を行っている中国の団体を名指しして恥をかかせることも重要だが、個人や団体に標的を絞った制裁を科すことも必要になるだろう。
現在のような米国との経済関係を維持したければ、
サイバー攻撃はやめざるを得ないという事実を中国の高官たちは受け入れなければならない。
かねてより「中国流社会主義」の大成功を見せびらかすことを望んできた中国政府は、ある点ではそれをしてきたのだろう。
窃盗はその明確な特徴と言える。
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ウォールストリートジャーナル * 2013年 2月 21日 10:46 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323364604578316872670645026.html
米政府、中国との対決姿勢強める―サイバー攻撃問題で
米中は軍事的な対立や海洋権益をめぐる対立で緊張関係にあるが、そこに新たな対立軸が加わった。
サイバー空間である。
米軍や国土安全保障省の当局者は長年にわたって、中国軍が米国のコンピューターネットワークに悪質な攻撃を加えていると遠回しに非難してきた。
しかし、ハッキングやデータの窃取は止まらず、
米政府はあからさまに中国を非難する
ようになっている。
専門家によれば、米国がサイバー攻撃問題で対中姿勢を微妙だが重要なシフトし対決に向かっていることは、米中の外交関係の次のステップにとって重要な意味を持っている。
米有力シンクタンクのセンター・フォー・ア・ニュー・アメリカン・セキュリティーのパトリック・クローニン上級顧問は、
「米中間でサイバー空間をめぐる緊張が高まっているのは間違いない。
それは、中国近海での緊張激化と歩調を合わせている」
と指摘、
「中国が海洋分野で自己主張を強めていることと、サイバー攻撃の頻発には多くの点で関連性がある」
と述べる。
インターネットセキュリティー会社のマンディアントは、中国人民解放軍の1部門が米企業や政府機関に対するサイバー攻撃を仕掛けている証拠があるとする報告をまとめた。
これにオバマ政権は直ちに反応し、カーニー大統領報道官は19日、
「米国は、企業機密の窃取などサイバー攻撃が米国の経済、安全保障上の脅威となっていることに重大な懸念を抱いている」
と強調、中国の最高レベルに抗議していると明らかにした。
中国はマンディアント社の報告について、米国こそが中国を標的にしたサイバー攻撃の発信源となっていると反論した。
中国外務省の洪磊・副報道局長は同日の記者会見で、
「サイバー攻撃は匿名のもので国境を越えるため、発信源を特定するのは難しい。
したがって、その報告がどの程度信頼を置けるのか分からない」
と疑問を呈した。
これに対して米政府当局者は、マンディアント社の主張は驚くべきものではなく他にも証拠はあると述べ、中国側の否定を一蹴している。
関係者によると、最新の米国家情報評価(NIE)では、知的所有権の損失をもたらしている執拗なサイバー攻撃による機密情報の窃取の背後には中国政府の存在があると指摘している。
同NIEは機密扱いで、公表はされていない。
米政府当局者は、サイバー攻撃に中国が関与している証拠が相次いで出てきていることで、中国は米国との間で率直に意見を交換する対話をせざるを得なくなるだろうとの見通しを示す。
超党派のシンクタンクであるランド研究所のマーチン・リビッキ氏は
「米軍はとっくに、こうしたサイバー攻撃の背後には中国人民解放軍がいると確信している」
と明言。
その上で、
「中国側の典型的な反応は『どうしてそんなことが言えるのか』というものだが、米側の証拠が具体的になればなるほど、突っぱねるのが難しくなるだろう」
と予想する。
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ウォールストリートジャーナル * 2013年 2月 21日 10:19 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323364604578316830961763350.html
米、対サイバー攻撃戦略を公表
それによると窃取された企業機密が基になっている製品やサービスに対する貿易規制を強化することや、機密の窃取を阻止する一連の外交手段についても提示している。
近年、中国の関与が濃厚なサイバー技術を利用したスパイ活動が相次いで発覚している。
グーグルやロッキード・マーチン、ノーテル・ネットワークスのほか、ニューヨーク・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナルも被害に遭っている。
同文書は中国を名指しはしていないが、中国による企業情報の摂取の例がいくつも挙げられている。
オバマ政権は、企業機密の窃取を経済上のみならず国家安全保障上の重大な脅威と位置付けている。
同文書では、
「企業機密の窃取は米国の企業を脅かし、国家安全保障を傷付け、米経済の安全保障を危うくする」
とし、
「こうした行為は、米国の輸出の可能性を縮小させ、米国民の雇用を危険にさらす」
と警告している。
オバマ大統領は先週、送・配電網など重要なインフラを運営している企業の自主的なサイバーセキュリティー基準の設置を求めた行政命令に署名している。
元国務省高官で現在は戦略国際問題研究所(CSIS)のサイバーセキュリティー専門家であるジェームズ・ルイス氏は、
「新戦略文書は、中国の行為を変えさせるためのものだ。
中国には圧力をかけ続けなければならない」
と語る。ただ同氏は、
それが成果をあげるには数年はかかりそうだ」とし、長期戦を覚悟する必要があると警告する。
ルイス氏によれば、1990年代に米国は中国による大量破壊兵器(WMD)などの拡散を阻止するため、同様の戦略を採って中国に外交面や貿易面から圧力を掛け成功したという。
中国政府は、サイバー攻撃を仕掛けているとの米国側の主張を強く否定している。
米情報機関高官は、一連のサイバー攻撃の背後には中国政府がいるとの見方をしている。
新戦略によると、米国の検察・警察や情報機関は今後、民間部門との協力を一段と緊密化し、スパイ対策を指導するとともに、企業スパイの脅威が発生した場合には警告を発する。
また、外国政府の関与の有無や関与の件数、標的となっている産業分野、スパイ活動のやり方など、脅威に関する重要情報を民間部門に提供する。
加えて国務省は、企業機密の窃取に対する外交上の対応を積極化させ、外国政府に対し一貫した適切なメッセージを送る。
さらに、環太平洋連携協定(TPP)などの貿易協定にも、企業機密保護のための新規定を導入し、米国法で定められている罰則を設けるよう求めていく。
(AP通信)
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ロイター 2013年 02月 20日 16:08 JST By Ian Bremmer
http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTYE91J03R20130220
コラム:中国が仕掛けるサイバー戦争、米企業の「沈黙は金」か
米企業は戦争状態にあるが、それがどういうことかと彼らに聞いても答えは返ってこないだろう。
企業同士が戦火を交えている訳ではなく、彼らの知的財産や機密情報を狙うハッカーによる攻撃を受けているのだ。
ハッカーによる攻撃がどれほど深く進攻しているかは、実際に被害に遭った企業にしかほとんど分からない。
なぜなら、彼らはサイバー攻撃を仕掛けてきた国をことさら刺激しないよう沈黙を守っているからだ。
中国はサイバー攻撃が最も多い国であると同時に、多くの場合、企業にとってはチャンスが最も多い国でもある。
米企業は、中国での稼ぎを優先し、甘んじて屈辱を受け入れているのだ。
企業が口を閉ざしているとき、そうしたサイバー攻撃の実態をわれわれはどうして知ることができるか。
それは、米国政府が気付いているからだ。
ニューヨーク・タイムズ紙は19日、米国を狙ったサイバー攻撃と中国人民解放軍の結びつきを強調する記事を掲載した。
またワシントン・ポスト紙の先週の報道によれば、米機密文書の「国家情報評価」は、中国が最も攻撃的に米企業・機関へのハッカー攻撃を仕掛けていると結論付けた。
これが、米国が負けつつあるサイバー戦争の最前線だ。
国家間のサイバー戦争では、米国が健闘しているのは分かっている。
高度なマルウェア「Stuxnet」を使い、イラン核施設の遠心分離機をダウンさせたサイバー攻撃はいい例だろう。
しかし、企業がらみの妨害工作やスパイ行為について言えば、米国は中国に比べ、かなり後れを取っている。
われわれは自由市場資本主義だからだ。
米国政府は、経済に有益な情報を民間セクターに代わって取得しようと介入するようなことはしない。
ひるがえって、国家資本主義の中国は、そうしたサイバー攻撃にははるかに長けている。
オバマ大統領は確かに、一般教書演説では、国内の産業・インフラをサイバー攻撃から守る体制の強化を目指す大統領令を発表した。
ただ、企業を狙ったサイバー攻撃への広範な対策は、企業が自ら答えを出さなくてはならない。
こうした取り組みが聞こえてこないのはなぜか。
「国家情報評価」が示唆したように、かなり多くの企業がハッカーの攻撃を受けているにもかかわらず、彼らは世界第2位の経済大国であり、最大の取引先である中国でビジネスを失うことを恐れているのだ。
中国政府の抑圧的な政策に唯一抵抗を見せたのはグーグルぐらいだ。
グーグルが中国当局の検閲を回避するため、中国の検索サービスを香港に転送したのは有名だ。
しかし、マイクロソフトは、グーグルの中国本土撤退をビジネスチャンスととらえた。
同社の幹部はグーグルの決断を直接引き合いに出した上で
「われわれは撤退しない」
と明言した。
グーグルは確かに代償を払った。
同社の中国検索市場でのシェアは約30%から5%にまで低下し、現地企業の百度に大きく水を開けられている。
百度は言うまでもなく、中国政府と密接なつながりを持つ。
ニューヨーク・タイムズもグーグル同様、立場を明確にした。
昨年10月に温家宝首相の一族に不正蓄財があったと報道して以降、同社はサイバー攻撃にさらされた。
しかし口を閉ざす代わりに、ハッカーによる攻撃を受けた事実を記事にして応酬して見せた。
ワシントン・ポストとウォールストリート・ジャーナルも同じように声を上げた。
グーグルやこうした新聞各紙のビジネスモデルは、情報の自由が柱となっている。
しかし他のビジネスでは、マイナス面がプラス面に大きく勝ることが往々にしてある。
コカ・コーラが2009年にハッキングされた後、沈黙を守ったのもそれで説明がつくだろう。
コカ・コーラが中国のジュース企業に対する24億ドルでの買収を試みた後、ハッカーは同買収に関する内部文書を盗み出した。
ブルームバーグによれば、この買収が実現していれば、外資による中国企業の買収としては当時史上最大規模になったはずだった。
コカ・コーラはそれからかなり後、2012年後半に事実が明るみに出てからサイバー攻撃があったことを認めた。
後からでも事実を公表するのは、何も語らない他の多くの企業に比べればはるかにましだ。
中国政府に食ってかかり、変化をもたらすことができる企業があるとすれば、それは業界トップしかないだろうが、コカ・コーラにしてみれば、自分たちが抜けた穴を競合相手に埋められることも心配だろう。
サイバー攻撃に対する最善の方策は、力の強い多国籍企業が競合相手と協力して問題への関心を高め、圧力をかけることだろう。
もしコカ・コーラがライバルのペプシコと共同戦線を張っていれば、もっと大きな進展があっただろう。
ボーイングとエアバスなど、各業界の盟主たちにも同じことが言える。
企業が単独で危険を冒せないというのなら、業界団体に立ち上がってもらうのも手だ。
中国に首尾よく圧力をかけるためには、ハッキングを受けた全企業による協調した取り組みが必要だ。
パネッタ国防長官は昨年10月、米国の重要インフラに対するハッカー攻撃は将来「サイバー真珠湾攻撃」にもなりかねないと警告した。
米企業はすでに、日々刻々とサイバー戦争を仕掛けられているのだ。
今こそ、サイバー攻撃を受けた企業同士が協力し、知恵を出しあう時ではないだろうか。
(19日 ロイター)
*筆者は国際政治リスク分析を専門とするコンサルティング会社、ユーラシア・グループの社長。スタンフォード大学で博士号(政治学)取得後、フーバー研究所の研究員に最年少で就任。その後、コロンビア大学、東西研究所、ローレンス・リバモア国立研究所などを経て、現在に至る。全米でベストセラーとなった「The End of the Free Market」(邦訳は『自由市場の終焉 国家資本主義とどう闘うか』など著書多数。
*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年2月23日 11時37分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69693&type=0
中国のサイバー攻撃に貿易制裁で対抗か
=オバマ政権は新たな対応策を導入へ―米国
2013年2月22日、フィナンシャル・タイムズ中国語版は記事
「米国、中国のサイバー攻撃に貿易制裁で対応する考え」
を掲載した。
20日、米オバマ政権は企業スパイ活動に対する新たな対応策を導入する考えを示した。
外交手段と貿易制裁を組み合わせて圧力をかける構想で、
中国への貿易制裁が含まれる可能性が高い。
先日、米ネットワークセキュリティーコンサルタント企業マンディアントは、中国人民解放軍が米企業へのハッキングに関与していたとの報告書を発表した。
中国国防部は事実無根と反論したが、中国のサイバー攻撃に何らかの対応をとるべきとの意見が高まっている。
米下院情報特別委員のマイク・ロジャース委員長はサイバー攻撃問題について中国と直接交渉するべきと主張。
また、サイバー攻撃に関与した人物のリストを公表し、米国への入国ビザ発行を拒否するなどの強硬策をとるべきとも主張している。
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【中国海軍射撃用レーダー照射】