●12日、AP通信は記事「北朝鮮の“裏切り”は独断専行=中国と北朝鮮、兄弟の絆に異変」を掲載した。北朝鮮のミサイル打ち上げ、核実験の敢行は中国のメンツを潰したという。写真は北朝鮮の国旗。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年2月15日 6時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69413&type=0
北朝鮮にメンツを潰された中国=習近平総書記は「血盟の兄弟」との関係を打ち切るのか―中国
2013年2月12日、AP通信は記事
「北朝鮮の“裏切り”は独断専行=中国と北朝鮮、兄弟の絆に異変」
を掲載した。
12日、旧暦の正月3日に当たるこの日、北朝鮮は第3回目の核実験を敢行した。
これは中国のメンツを完全に踏みにじるものといってよいだろう。
中国は繰り返し警告していたが、北朝鮮は独断専行を押し通した。
中朝間の「血盟の兄弟」の絆は今、限界に達しようとしている。
しかし、尖閣諸島をめぐる日中の対立が続く中、もし北朝鮮が裏切れば中国は孤立することになる。
今回の“裏切り”をどう対処するか、中国は戦略的なチャレンジに直面した。
昨年末、北朝鮮のロケット打ち上げを受け、中国は異例にも国連の制裁決議案に賛成票を投じた。
北朝鮮は中国を名指しこそしなかったものの、「米国への盲従」だと批判した。
今年の正月、北朝鮮は30カ国の指導者に新年の書簡を送ったというが、中国には送っていないという。
中国も黙って見ているわけではない。
中国官制メディアの環球時報は先週、
「核実験を実施すれば援助を削減する、中国は北朝鮮の核政策に巻き込まれるわけにはいかない」
と批判していた。
問題は金正恩第一書記の体制掌握にさかのぼる。
中国は権力交代を支持し援助を続けたが、北朝鮮はそれを当然と見なした。
というのも、中国にとって北朝鮮は米国との戦略的緩衝地域と位置づけられており、在韓米軍と中国が直接向き合うことを防いでいる。
また北朝鮮の体制が崩壊すれば大量の難民が中国に押し寄せると考えられ、これも中国の懸念材料となっている。
しかしロケット発射、核実験と繰り返される北朝鮮の強硬姿勢は、日本に平和憲法改憲の口実を与え、米国が日韓との同盟を強化するチャンスを与えるもの。
中国は不利な状況に追い込まれている。
この苦境を解決する方法は、米中が手を結んで北朝鮮に圧力をかけることだ。
胡錦濤(フー・ジンタオ)国家主席は口では北朝鮮の核政策を批判しながら、実際には援助を続けてきた。
だが習近平(シー・ジンピン)総書記はその路線を変更し、米国と協調して北朝鮮に圧力をかける可能性があると、北京大学国際関係学院の朱鋒(ジュー・フォン)教授は指摘する。
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「昇り龍」であった中国だがここ最近、何から何までうまくいっていない。
空回りしているといった感じがある。
日本には反抗されるし、ビルマには天秤にかけられるし、北朝鮮には後ろを向かれる。
国内は大気汚染で悩んでいる。
外国の調査機関は今後の中国の発展も勢い良く進み、近い将来アメリカを追い抜くだろうと、歯が浮くような報告を世界に振りまいている。
本人もその気にさせられているが、しかし、冷静に考えてみて
さほどに明るい未来が中国を待っているのだろうか。
調査というのは過去のデータによる分析であるが、それが未来を決めるのであろうか。
このところの中国の姿勢からは「不安」しか読み取れないのだが。
これまでの上昇ウエーブからゆっくりと下降の局面に入りつつあるというのがクールな見方だろう。
中国とて永久に右肩上がりが続くわけではない。
見ている限りでは「中国は息切れ」してきているような感じがする。
下降局面に入った現状を何とか打破しようと踏ん張っているが、なかなかうまく噛み合わずにズルズルと後退を余儀なくされ、それを隠すためにヒステリックに騒いでいる風である。
思い描いていた状況とはまるで違った展開に、イライラしているところだろうか。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年2月15日 10時34分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69397&type=0
北朝鮮の核実験強行が物語る、中国の対北政策の徹底的失敗―米メディア
2013年2月13日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは
「北朝鮮の核実験強行が物語る、中国の対北政策の徹底的失敗」
と題した記事を掲載、今回の核実験は中国が現実的な視点で北朝鮮問題を考え直す契機であると述べた。
以下はその内容。
北朝鮮が3度目の核実験に踏み切り、核問題が未曾有の危機に至っている。
中国は2003年に北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議の場を設けたが、それから10年間にわたる実践の結果は大敗北、メンツは丸つぶれとなった。
日米ロなどの外的要因の他、中国自身の戦略思想と政策の誤りが失敗の主な原因である。
中国が経済と社会改革を行い、欧米世界に門戸を開いてから30年後、当局は政権基盤を固める必要から、
「赤い中国という偽りの観念」を国内で打ち立て、広めてきた。
この観念の下では、赤い北朝鮮は想像上の同士であり兄弟となる。
かつてのソ連とユーゴスラビア、ハンガリー、ポーランド、チェコスロバキア、あるいは中越関係、中朝関係、中ロ関係など、共産主義イデオロギーが国益のズレと対立を解消することはできなかった。
イデオロギー外交では北朝鮮は中国の戦略的緩衝国とされる。
このような考え方が中国と日米関係の現実をねじ曲げてしまった。
北朝鮮は世襲政権を維持するため、中国に対しては誠実性のない関係を築いている。
世界第2の経済大国であり、最大の貿易国として、国内の社会と政治情勢がどのように変化していくのだろうか。
中国はもはや21世紀の世界で別の派閥を打ち立てて国際社会の主流と対立したり、隔絶するような体系を打ち立てることなどできない。
そのため、今回の核実験によって中国の政府や国民はさらに現実的に核や朝鮮半島、アジア太平洋地域の問題を認識することになる。
半島と北朝鮮問題における中国の国益を確定する上で、これは絶好の契機かもしれない。
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ロイター 2013年 02月 15日 09:39 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE91E00020130215
焦点:核実験強行した北朝鮮、中国が抑え込めない理由
[ワシントン/北京 13日 ロイター]
北朝鮮が12日に実施した3度目の核実験は、国際社会からの非難が相次ぎ、国連安全保障理事会も「適切な措置」を取るとして新たな制裁を検討している。
また米国では、中国が北朝鮮の抑え込みにようやく乗り出すと期待する声も聞かれる。
その中国は、核実験後に北朝鮮側に抗議を伝えたものの、これまでのところ状況に目立った変化は見られない。
こうした事態は以前にもあったことで、今回も同じ展開が繰り返される可能性は高い。
中国はこれまで、北朝鮮への厳しい制裁措置を支持してこなかった。
それは、自国のすぐ隣にある予測不能の国で大混乱が生じるのを恐れるためだ。
米国が軍事面でアジア重視の戦略にシフトしている今、中国が対北朝鮮で米国と共同歩調を取る見込みはさらに低いとみられる。
上海・復旦大学の沈丁立教授は
「米国が西太平洋で軍部隊の再編成を進めれば進めるほど、中国は北朝鮮との関係に幅を持たせざるを得なくなる」
と話す。
一方で北朝鮮は、米中の不信感が高まっていることを巧みに利用している。
中国は今回の核実験後、北朝鮮に「強烈に不満で、断固として反対する」と抗議した。
しかし、これは中国の新指導部が北朝鮮に厳しい措置を取るつもりがないことを示唆している。
抗議に用いられた言葉も、支援削減の示唆など一部国営メディアが発した厳しい警告に比べると迫力に欠けるものだった。
中国の外交専門家は、政府の優先事項が米国や韓国、日本とは異なると指摘する。
中国にとっては北朝鮮との国境の不安定化が、核問題よりも重大で緊急性のある懸念と言える。
北京大学の国際関係学教授である朱鋒氏は
「中国は常に、北朝鮮が急崩壊する恐れを懸念している」
と指摘。
「難民問題や社会不安、軍事衝突の可能性がある。
中国が二の足を踏む理由はそれだ」
と語る。
北朝鮮では1990年代半ばの飢餓(ききん)で100万人以上が死亡した。
以来、中国は北朝鮮を維持するために食糧や燃料を支援してきたが、その額は明らかにしていない。
さらに中国は北朝鮮との貿易や投資も強化している。
2国間の貿易額は2012年上期に前年比24.7%増となる31億ドルに増加。2011年は前年比62.4%増となる57億ドルだった。
中国はこのほか、国連による制裁措置で北朝鮮への輸出が禁止されている「ぜいたく品」についても、寛容な姿勢を取っているとみられている。
■<北朝鮮への圧力>
国際危機グループの北東アジア責任者、ステファニー・クライネ・アールブラント氏は、
「北朝鮮への経済支援策は他にもさまざまな方法がある。
それだけではなく、中国には北朝鮮の体制を追い詰める気がない。
それは中国が戦争を望んでおらず、現状を変えたくないからだ」
と語る。
新たな制裁をめぐる今後の交渉の難しさを示す例として、国連の複数の外交官は、今回の核実験を受けた安保理声明案の協議で、中国が「国際的な平和と安定への明確な脅威」という文言に当初反対していたことを明かす。
中国は結局、同案を受け入れた。
こうした中国の対応について聞かれた米国務省のヌランド報道官は、交渉は初期の段階だとコメント。
ただ、中国が北朝鮮に対して持つ大きな影響力は「中国と緊密に連携することが非常に重要である理由だ」とし、ケリー新国務長官が中国側のカウンターパートとの協力を優先する理由でもあるとの見解を示した。
しかし、この問題における米国の影響力は、オバマ大統領の政策によって低下する可能性もある。
軍事面でアジア太平洋地域にシフトする戦略は、イラクやアフガニスタンでの10年にわたる戦争後の必要な政策修正だとワシントンではみられるが、北京では中国に対する脅迫的な政策だと捉えられる。
国連の北朝鮮制裁委員会の専門家パネル元メンバーであるノートルダム大学のジョージ・ロペス氏は、北朝鮮に厳しい対応を取るよう中国に促すために、米国は日本と韓国が核兵器を保有したり、別の方策で対米同盟を強化したりする可能性を想起させるべきだと主張する。
同氏は中国に送るメッセージについて、
「われわれと協力し、同じ目標に向けて2国が主導する枠組みを作る必要がある。
さもないと、予測不能な形で大混乱が生じる」
という内容であるべきだと語る。
また、ロペス氏や他の専門家は、米国が中国から北朝鮮への銀行送金に対する監視を強化するために、既存法を利用する余地が大きいと見る。
米財務省は2005年、マカオの金融機関「バンコ・デルタ・アジア」に対する制裁を発動。
マネーロンダリング(資金洗浄)や偽札密輸をターゲットにしたこの措置は、北朝鮮にとって財政的な痛手となり、米国の銀行システムからの締め出しを恐れる中国の銀行への警告となった。
オバマ大統領は12日の一般教書演説で、北朝鮮の脅威に対する国際的な対応で主導すると表明。
ただ、中国がどのような役割を果たせるかについての言及はなかった。
大統領は
「北朝鮮の体制は、国際的な義務を果たすことでしか安全と繁栄を実現できないことを知る必要がある」
と指摘。
さらに
「この種の挑発はさらなる孤立を招くだけだ。われわれは同盟国と協調してミサイル防衛を強化し、世界を主導してこうした脅威に対応するために断固たる措置を取る」
と強調した。
(ロイター日本語サービス 原文:Paul Eckert、Michael Martina、翻訳:橋本俊樹、編集:宮井伸明)
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【中国海軍射撃用レーダー照射】