2013年2月8日金曜日

中国は世界最大の「紙幣印刷機」:約1500兆円の過剰発行




●7日、一部のメディアが「中国は世界最大の紙幣印刷機になった」と報じた。これについて専門家は、「このような言い方はあまりにも常識外れで、一方的すぎる」との見方を示している。写真は江蘇省蘇州市の銀行。




レコードチャイナ 配信日時:2013年2月8日 11時16分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=69224&type=0

中国は世界最大の「紙幣印刷機」、メディアの報道に専門家が反論―中国メディア

 2013年2月7日、各国が相次いで新たな量的緩和策を発表する中、あるメディアが
 「中国の通貨過剰発行も深刻だ。
 2012年、中国の通貨増加量は世界の約半分を占め、世界最大の紙幣印刷機になった」
と報じた。
 これについて専門家は、
 「このような言い方はあまりにも常識外れで、一方的すぎる」
との見方を示している。
 中国の通貨発行量が本当に深刻なのかどうか、1つのデータに基づいて当て推量することはできない。
 通貨が過剰発行状態かどうかを判断する指標の 1つとして物価の安定がある。
 金融政策の良し悪しを判断する上で重要なのは、経済の成長率・規模と歩調が合っているかどうかだ。

▽.中国の通貨過剰発行は誇張

 中国の通貨過剰発行問題はここ数日、各方面で話題になっている。
 中国人民銀行(中央銀行)の統計データによると、
 2012年末現在、中国のM2残高は
 「97兆4200億元(約1448兆8100億円)」に達し、
 世界一
となった。
 この額はすでに、世界のマネーサプライ総量の4分の1に近づいており、
 米国の1.5倍だ。
 さらに、M2の対GDP比は188%の過去最高に達した。
 ちなみに同期の米国の同比率は63%で、中国のわずか約3分の1だった。
 一部メディアはこの差を根拠として中国を「世界最大の紙幣印刷機」と比喩し、多くの人が中国の通貨過剰発行が深刻であると考えるようになった。

 しかし、専門家はこれについて
 「表面的に見て、中米のデータを比較すればこの結論も一理あるように感じるが、理論的に分析、もしくはもっと広範囲で比較すれば、この判断が大雑把であることが分かる。
 特にM2残高と対GDP比だけで中国が通貨過剰発行状態だと断定するのはあまりにも単純で一方的だ。
 各国のマネーサプライの統計範囲の違い、融資構造の違い、経済発展段階の特徴などの要素を全く考慮していない」
と指摘する。

 中国人民大学財政金融学院の趙錫軍(ジャオ・シージュン)副院長は
 「中国の通貨発行量は確かに多いが、中国経済の成長率を見ずに単純に過剰発行だと決め付けてはならない。
 合理的な通貨発行は、国の経済成長率・規模に応じたものであるべき。
 例えば米国は経済成長が鈍化しているため、発行量を再度増やせば過度な発行になってしまう」
とする。

▽.通貨発行量の増加には原因が

 中国人民銀行の周小川(ジョウ・シャオチュワン)総裁は、
 「中国がこれまで統計してきた実体経済には形のあるものしか含まれず、サービス業が含まれない。
 このため、市場化が進み経済発展が加速するに伴い、マネーサプライは統計範囲内の『実体経済』の需要をすぐに上回り、いわゆる『過剰発行』の状態になった。
 しかし実際のところ、マネーサプライは実体経済だけでなく、サービス業や金融市場の需要も満たす必要がある」
と指摘する。

 興業銀行の魯政委(ルー・ジョンウェイ)チーフエコノミストは
 「中国のM2対GDP比は前々から高かった。
 この原因として、1つには中国のマネタイゼーションの進展が挙げられる。
 これまで市場で取引されてこなかった多くの製品が市場に流入し始め、自然とより多くの通貨が必要になった。
 もう1つの原因は、中国の社会融資構造だ。
 社会融資の大部分は銀行によるものであるため、M2が必然的に高くなる」
とする。

 国家情報センター経済予測部世界経済研究室の張茉楠(ジャン・モーナン)副研究員は、
 「第1に、改革開放の深化と市場化の高まりに伴い、中国の通貨需要が絶えず高まり、マネーサプライの増加ペースが経済成長ペースを上回った。
 このためM2の対GDP比が高まった。
 第2に、WTO加盟以降、中国の輸出の高成長および蓄積された外貨準備高は、貨幣創造のメカニズムと供給構造を大きく変化させた。
 最後に、投資に対する過度な依存度もまた、通貨の受動的な過剰発行の主因となっている。
 金融資源の国有経済に対する過度な依存、国有部門の予算に対する『ソフトな制約』は、金融資源の効率低下を招いている。
 経済の高度成長を維持するためには、さらなる信用貸付・貨幣供給に依存する必要がある」
と語る。

▽.市場を資源配分の主体に

 実際のところ、
 「通貨の過剰発行」は表面的な現象であり、その裏には中国経済構造のアンバランスや金融体系発展の遅れといった問題が隠れている。
 中国のマネタイゼーションの過程には、他国とまったく異なる構造的・制度的基礎が存在する。
 その核心は、
1).政府が主導となったマネタイゼーション、
2).国際資本の循環を受けた「受動的な創造」、
3).金融資源配分の効率低下
だ。

 張茉楠副研究員は、
 「通貨の中にいれば、通貨の仕組みを理解できないため、通貨の外に出て通貨を見直す必要がある。
 政府主導の資源配分モデルから脱却し、市場を資源配分の主体とし、投資への過度な依存をやめ、金融分野の全面的な改革を促進することで初めて、通貨の過剰発行を緩和することができる。
 人民銀行による通貨発行抑制や信用貸付規模に頼っていてはこの局面を変えるのは難しい」
と指摘する。

 周小川総裁は、
 「我々は2008年以降、世界的な金融危機に対応するために積極的な財政政策と適度に緩和的な金融政策をとってきた。
 政策自体は正しいが、副作用がもたらされることは確実だ。
 金融政策にはタイムラグが存在し、一部の効果や現象がやや遅れて現れることもある。
 金融危機への対応の際は、マクロ経済調節に適度に力を入れる必要があるが、危機が過ぎた後は逆方向の調整が必要だ」と指摘する。
(提供/人民網日本語版・翻訳/SN・編集/内山)


 「お札を刷れる」
というのは国家にとっての絶対的誘惑である。
 その誘惑に負けて刷る過ぎるのが通常の動き。
 通常はお札は貿易による外貨準備高を睨んで刷る。
 ときにGDPを睨んで刷ることもある。
 しかし後者は先進国にのみ通用する判断とみるのが妥当。
 お札を刷り過ぎるとは、上の条件から導き出せる数字をはるかに上回って刷ることをいう。
 外貨準備高に見あって刷っていれば、間違いなく安全である。
 GDPに合わせると、財政投融資といった公共投資まで組み込まれてしまうため、いわゆる
 「花見酒の経済」
におちいる。
 さて、お札を刷りすぎると何が起こるか。
 こんなことはだれでも知っていることだが、確認しておく。
 巷にお金がだぶついてくる。
 よって、モノよりカネが多くなり、物価が上がる。
 物価が上がるということは、それに合わせて賃金が上がるということになる。
 これをインフレ傾向と呼ぶ。
 このインフレ傾向を使って、賃金をあげ経済を上向きに引っ張るのが時の政府の政策になる。
 高度成長経済とはこれを正当な経済的裏付けをもってやることをいう。
 つまり、貿易黒字の充分な大きさを確保しながらお札の量を増やしていくことだ。
 成長経済とは永遠に続くものではない。
 成長が鈍っているのにお札をするとどうなる。
 モノの量に比べてお金だけが巷に溜まっていく。
 これが「インフレ」。
 貿易という場ではモノの価値は対外的に決まってくるので大きくは変わらない。
 モノの値段がある程度安定していると、今度はモノの量でお札を増やしていく。
 ものの量も限界がある。
 不必要には増えない。
 モノがたくさんあれば、それだけお金を巷に増やすことができる。
 しかし、それがピークに到達すると、刷り過ぎたお金は不動産に向かう。
 それがバブルとなる。
 経済破綻が待っている。
 中国でお金をジャカジャカ刷っているということは、充分な外資がある限り大丈夫だ。
 外資が足りなくなると、不動産に回してGDPを操作しながら、お札を刷る。
 そうするとバブルは弾ける。
 おそらく、中国は貿易的にピークを過ぎている。
 よって、GDPに合わせお札を刷っている。
 公共投資、財政融資でGDPの額を維持しようとしている。
 いまの、ロー・ミドルエンドの産業構造、環境破壊、インフレ化による賃金の高騰、ゴーストタウンの建設、ランニングコストを考えないミエだけのきらびやか建造物の増加、貿易経済の鈍化、中国からの国際資本の逃亡、といったところをみると中国は早晩、経済的に苦境に追い込まれる。
 通常なら引き締めにはいるべきなのだが、それを昔の夢追って
 拡大で乗り切ろう
とするとバブル崩壊の悪夢に突入することになる。

 ちなみにデータをまとめると、
中国:GDPの「1.9倍」のお札を印刷
米国:GDPの「63%」のお札を印刷
 ということは、中国はアメリカの3倍のお札を刷っているということになる。
 いくらもっともらしい理屈を並べてみても、刷りすぎはみえみえ。
 早晩、インフレ、バブル崩壊へ向かう。
 中国元が下落する。
 いまがピークだろう。


東京新聞 2013年2月9日 夕刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2013020902000244.html

貿易総額 中国、世界一に 

 2012年の中国の輸出と輸入を足した貿易総額が前年比6・2%増の3兆8667億6千万ドル(約358兆円)となり米国を抜いて初めて世界最大となったことが米国と中国当局の発表で八日、分かった。
 通商分野での中国の存在が一段と大きくなったことが鮮明になった。

 米商務省が八日に発表した2012年の貿易収支によると、モノに限った国際収支ベースの貿易総額は前年比3・5%増の3兆8628億5900万ドルで、中国は約39億ドルの僅差ながら米国を抜いた。

 中国の貿易総額は2010年の世界貿易機関(WTO)加盟をきっかけに急拡大。
  輸出額に限れば2009年にドイツを抜き、世界一となった。
 貿易総額は米国に次いで二位だったが、一二年に逆転した。

 2012年の輸出は中国が2兆0489億3千万ドル、米国が1兆5635億7800万ドルと中国が大差をつけた。

 一方、輸入は中国の1兆8178億3千万ドルに対し、米国が2兆2992億8100万ドルだった。 (共同)

 まとめてみる。
①:中国
 総計:3兆8667億6千万ドル(約358兆円)
 輸出:2兆0489億3千万ドル
 輸入:1兆8178億3千万ドル
 差分:  2311億ドル(約21兆4千億円)
②:アメリカ
 総計:3兆8628億5900万ドル(約358兆円:ほぼ同額)
 輸出:1兆5635億7800万ドル
 輸入:2兆2992億8100万ドル
 差分: -7357億ドル(約-6兆8千億円)


日本産業経済新聞 2013/2/10 0:26
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0904F_Z00C13A2FF8000/

中国、輸出先・品目に広がり モノの貿易額世界一

 【上海=菅原透】中国が2012年、輸出と輸入を合わせたモノの貿易総額で米国を抜いて世界一となった。
 01年の世界貿易機関(WTO)加盟をきっかけに急拡大。
 安い労働コストをテコに「世界の工場」として、輸出先や製造品目の幅を広げたことが背景にある。
 ただサービス分野を含めると、なお米国と1兆ドル超の差がある。
 貿易の質を向上するにはサービス産業の競争力を高める必要がある。

 中国税関総署が先に発表した貿易総額は3兆8667億6千万ドル(約358兆円)。
 モノに限った実績で、米商務省が8日発表した米国の3兆8628億ドルを約40億ドル上回った。
 すでに輸出額ベースで、中国は09年にドイツを抜いて世界1位になっていた。

 WTO加盟をきっかけに急拡大した中国の貿易額。
 その中身は10年余りで大きく変わった。

 当初、貿易をけん引したのは、輸入した原材料を中国で加工・組み立てて製品として輸出する「加工貿易」だった。
 靴や繊維、家具、家電など労働集約型の工場を呼び込み、世界市場に供給した。

 その後、国内産業のすそ野が次第に広がり、材料や部品を国内で調達する動きが加速。
 輸出製品には通信機器や建機、自動車など付加価値の高い製品も増えた。
 自動車は昨年、初めて輸出台数が100万台を突破した。

 貿易相手の多様化も拡大を後押しした。
 01年時点では日米欧が貿易総額の半分近くを占めたが、12年には3分の1超まで低下した。
 「欧州向けなどが低迷する状況で、東南アジアや南米など新興国向けの需要は旺盛」(海運大手幹部)という。

 特に、10年に自由貿易協定(FTA)を本格発効した東南アジア諸国連合(ASEAN)とは、12年の貿易総額が前年に比べて10%強増え、すでに日本を上回る貿易相手となった。

 とはいえ、中国の貿易収支は偏りが大きい。
 12年の輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、2311億ドルの黒字。
 景気減速により原材料などの輸入が伸び悩み、前年に比べて48.1%の大幅増となった。
 貿易規模の拡大と輸出超過が続けば、米政府は人民元への為替操作批判を一層強めるとみられ、中国の通貨政策のかじ取りは一段と難しくなる。

 輸出の超過は構造的な問題だ。
 中国政府は景気が鈍化するとインフラ投資を積極化する傾向にある。
 08年の金融危機時は、4兆元(約60兆円)の景気対策が投資の過熱や過剰生産を招いた。
 国内であふれた商品は輸出に回り、欧米との貿易摩擦が激しくなる。

 投資や輸出への依存から脱却して輸入を増やすためには、内需主導型への転換が欠かせない。
 国内でサービス産業を育成すれば貿易拡大にもつながる。
 共産党・政府は13年の経済政策の重点課題として内需拡大を挙げ、消費の底上げに注力する方針だ。

 中国の国内総生産(GDP)に占めるサービス産業の比率は4割超で、7割を超える日本など先進国と比べて低い水準にとどまる。
 中国政府は1月末、広東省深セン市の一部で企業への貸出金利を自由化。
 サービス業など新興産業に資金が流れやすい仕組みを作るなど改革に乗り出した。






【中国海軍射撃用レーダー照射】



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