●中国海軍のジャンカイ1級フリゲート艦
『
ウォールストリートジャーナル 2013年 2月 06日 15:46 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324261304578286743230205284.html
日本、危険な軍事行動と非難−中国海軍がレーダー照射
日本政府は5日、中国海軍が過去3週間で2回、東シナ海で海上自衛隊の護衛艦と海自所属ヘリコプターにレーダーを照射していたと非難した。
今回のレーダー照射は東シナ海の尖閣諸島(中国名は釣魚島)をめぐる両国間の緊張をエスカレートさせる出来事で、日中というアジアの主要国の軍事衝突への懸念が高まっている。
小野寺五典防衛相は同日夕の緊急記者会見で、
「一歩間違えれば危険な状況になる」
と述べた。
同相によると、中国海軍のフリゲート艦は1月30日に海上自衛隊の護衛艦に射撃用の火器管制レーダーのようなものを照射した。
また同月19日にも海自所属ヘリコプターに照射した。いったんレーダーが照射されると実射される可能性が出てくるが、いずれの事例も、照射に続く実射はなかった。
しかし同相は
「極めて特異な事例だ」
と述べた。
同相は
「外交ルートで、しっかりこのような事態が発生しないように抗議を行う」
と語った。
日中間の緊張激化は、とりわけ米国を懸念させている。日本に3万7000人の部隊を駐留させ、紛争水域からわずか260マイル離れた沖縄に大半の部隊を配置しているからだ。
米国防総省のキャシー・ウィルキンソン報道官(少佐)は5日朝(現地時間)、尖閣諸島に対する米国のコミットメントは
「長年のものであり、変化していない」
と述べた。
日米安保条約では、米軍は日本の領土と日本が管理している周辺諸島の防衛支援をうたっており、係争中の尖閣諸島も含まれる。
同報道官は
「われわれは今回の事例の報道を受け、懸念している」
と述べ、
「われわれはこれまでずっと、あらゆる当事者に対し、緊張を高めたり、この地域の平和と安定を損なう恐れのある誤算につながるリスクを増すような行動を回避するよう促してきた。
われわれは当事者に対話を通じて平和的にこの問題を解決するよう促している」
と語った。
中国の外交部と国防部は5日夜までに、日本政府のレーダー照射非難にまだ正式にコメントしていない。
日本の岸田文雄外相によると、日本政府の抗議に対し中国政府は事実確認したいと返答してきたという。
今回の動きは、日中両国の緊張緩和期待に冷水を浴びせるものだ。
昨年秋以来、関係を悪化させてきた緊張を緩和するため、両国が外交的な協議を再開する方向に近づいているかもしれないとの期待が最近出ていた。
例えば先週末には自民党と連立を組んでいる公明党の山口那津男代表が北京を訪問し、中国共産党の習近平総書記に安倍晋三首相の親書を手渡した。
この結果、2人の指導者が首脳会談開催に前向きとの期待が高まっていた。
中国の海事・軍事問題専門家で上海政法学院教授の倪乐雄氏は、日本の主張は誇張の公算が大きいとし、日本はこの水域での海上パトロールを縮小するため、中国に国際的な圧力を掛けようと意図していると指摘した。
同氏は
「日本側は、これらの事例が発生する前に何が起こったのか説明していない。
それは、中国艦船による行為を引き起こした原因は何かということだ」
と述べ、
「これが日中双方の海軍(海自)艦船の間の出来事ならば、それは通常の活動だ。
彼ら(日本側)は今回の出来事を誇張していると思う」
と語った。
しかし独立系のアナリストは、中国海軍の行動はもっと挑発的だと受け止めている。
軍事調査のIHSジェーンズの海軍コンサルタント、リチャード・スコット氏は
中国海軍が火器管制レーダーを使用したことは
「エスカレーション行為とみなされるのは確実だ」
とし、
「それは誰かが直ちに相手を射撃しようとしている可能性を示唆するからだ」
と語った。
日本政府は5日、2つのルートで中国に抗議した。
一つは東京にある中国大使館、もう一つは北京の中国外務省だ。
小野寺防衛相は、日本側が今回の事例の記録とデータを分析した結果、射撃前に目標に照準を合わせる火器管制レーダーが確かに使われたと判断した後、中国側に抗議し、経緯を公表する決定を下したと語った。
防衛省は5日の報道発表で、護衛艦「ゆうだち」(長崎県佐世保基地、4400トン)に火器管制レーダーを照射したのは、中国海軍のジャンウェイ2 級フリゲート艦だったことを明らかにした。
また、護衛艦「おおなみ」(神奈川県横須賀基地、4600トン)搭載のヘリコプターにレーダーを照射したのは、中国海軍のジャンカイ1級フリゲート艦だった。
日本は、東シナ海のどこでレーザー照射を受けたのか、その場所が懸案になっている尖閣諸島からどのくらい離れていたのかを明らかにしていない。
防衛省の調査部門である防衛研究所の主任研究官、高橋杉雄氏はこれが
「ショッキングな行動」
だと述べ、状況をエスカレートさせる、ないし日本を挑発することを狙った意図的な行動だと指摘し、中国内部で、
この係争で「軍の出る幕はない」というコンセンサスはない
と思うと付け加えた。
一部の軍事アナリストは、
1].これが中国軍部によるトップダウンの戦略なのか、
2].それとも公海上で起きた危険な偶発的行為なのか
を判断するのは難しいと指摘する。
国際軍事専門誌IHSジェーンズ・ディフェンス・ウィークリーのアジア太平洋担当編集者ジェームズ・ハーディー氏は
「分からないのは、中国海軍のフリゲート艦の艦長が自分の意思で行動したのかどうかだ」
と指摘、
「現在は、作戦対応の余地が小さくなってきている状態だ。
今回のような行動は事態の沈静化につながらない」
と語った。
今回の緊張は、尖閣諸島周辺の上空で起こった懸念すべき出来事に続くものだ。
昨年12月13日には、中国の国家海洋局所属の航空機が日本のレーダーに捕捉されることなく尖閣諸島上空に侵入した。
これを受けて、航空自衛隊はF-15戦闘機8機を緊急発進させた。
また日本の当局者によると、今年1月 10日には、尖閣周辺を飛行していた中国の哨戒機が日本の戦闘機に追尾されたことを受け、中国が軍用機を緊急発進させている。
12月13日の領空侵犯から何週間もたたないうちに、安倍首相は日本の防衛費を11年ぶりに増やす計画を明らかにした。
予算には、中国の航空機を探知できなかった尖閣諸島近くの宮古島の古いレーダーを更新する費用が計上された。
また、沖縄の航空自衛隊の基地にレーダー搭載の偵察機を配備する費用も計上された。
日中両国の当局者が互いに批判を強めていることに、米国政府の懸念は増している。
クリントン前国務長官と近く辞任するパネッタ国防長官はかなりの時間を割いて、問題を沈静化させようと試みてきた。
これは米国にとって微妙な綱渡りだ。
米国がオバマ政権の軍事計画に基づいてアジアに再び焦点を合わせようとしているからだ。
防衛アナリストは、もし米国が尖閣諸島の問題で日本に譲歩を強いれば、米国にとって最も強力なアジアの同盟国を弱体化させることになると警告する。
また一部の米当局者は、日本に対し、アジアの安全保障上の役割をもっと顕著に、かつ多角的に担って欲しいと考えている。
東シナ海の問題で譲歩を日本に強制すると、その他の安全保障の問題、例えば韓国との共同演習などで、日本に協力を要請するのがより困難になる可能性がある。
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【中国海軍射撃用レーダー照射】
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